「貴殿の突然の退職により甚大な損害を被ったので、損害賠償を求めます」。突然の通知に女性たちは仰天した。退職も何も、勤めたのはわずか12日間だったからだ。職場は大阪府内で新規オープンを予定していたヘッドスパサロン。しかし社員研修の内容に不安を覚えた4人が同時に退職したのだ。これに怒りを爆発させたのがサロンの社長。4人やその親に損害金の支払いを繰り返し要求し、最終的には一方的な集団退職で損害を被ったとして、計約160万円の支払いを求める訴訟を起こした。4人の側も「不当な賠償請求をされた」として店側を提訴、激烈な法廷闘争に発展している。
退職時に「恐喝」?
反訴したのは20〜30代の女性4人。昨年3月、頭皮マッサージやヘアケアを行うおしゃれなヘッドスパサロンに契約社員として雇われた。同4月にオープンするサロンで施術や受付を担当する予定だった。
サロンの運営会社は関東や関西など全国に店舗を展開。ホームページによると、新たにオープンした関西の店は「極上のリラクゼーション」が「完全個室」で味わえる施設だ。スタッフ一人ひとりを写真付きで紹介したページもある。4人もこのページに笑顔でコメントを寄せるはずだった。
しかし4人は入社からわずか12日間で、サロンを去ることになる。退職までの経緯はサロン側と女性側で言い分が大きく食い違う。まずはサロン側の訴状をもとに当日の様子を振り返る。
「きょう退職するわ。数日間働いた給与分の金を今すぐ払え。払わない場合は入館証は私らのもんや」