獲物を仕留め、その動物の身体の一部(頭、角、皮)などを記念品(トロフィー)として持ち帰るトロフィーハンターの存在は、常に大きな議論の的となる。このほどそんなトロフィーハンターのひとりが、ハンティング中に流れ弾に当たり死亡するという事故が起こった。
『Metro』『The Independent』など複数メディアが伝えている。

大きな獲物をターゲットにする「ビッグ・ゲーム・ハンター」として数々のトロフィーを獲得してきたクロアチア出身のペロ・ジェレニタさん(75歳)が1月27日、南アフリカ北西州にあるファーム「Leeubosch Lodge(リーウボッシュ・ロッジ)」で、流れ弾に当たり死亡するという事故が起こった。

南アフリカでは、広大な私有地を囲ってライオンなどを繁殖、飼育し、その敷地内で客からお金をとって狩猟させる「キャンド(缶詰)・ハンティング(canned hunting)」は合法となっている。ペロさんはクロアチア人の友人2人を伴ってハンティングに参加し、既に1頭のライオンを仕留めていた。しかし2頭目の獲物を追跡している時に、何者かから放たれた銃弾を受けたという。

ペロさんのハンター仲間で親しい友人だったスラヴコ・パーナーさんは彼の死を悼み、クロアチアのメディア『Jutarnji List』にこのように語っている。


「ペロは大小の獲物をターゲットにしている情熱的なハンターでした。これまで彼は狩猟のために世界各地を旅して来ました。『ヨーロッパにはもうターゲットにする獲物がいない』と言うほど、彼はヨーロッパやクロアチアでトロフィーハンターとして活躍し、彼のオフィスはシカやクマなどのコレクションで溢れています。彼には“ライオン・トロフィー”を手にして国に持ち帰りたいという夢があったので、南アフリカにやって来たのです。ライオンを仕留めることができれば、数あるコレクションが完成するのだとも言っていました。この1年間は所有するホテルを企業にリースして運営を任せ、トロフィーハンティングに没頭していたようでした。
どうしても夢を達成させたかったのと、リタイア後の人生を楽しみたいという思いがあったのでしょう。ですが残念にも、南アフリカで愛する狩猟をしている最中に命を落とすこととなってしまいました。」

ヨハネスブルグ空港から車でおよそ4時間、またボツワナの国境から約60kmの距離にある2600ヘクタール(26平方km/東京ドーム約556個分)のLeeubosch Lodgeを所有しているギデオン・イングルブレット(Gideon Engelbrecht)医師はペロさんが銃弾に倒れた時はファームにはおらず、事故の連絡を聞いてヘリコプターの手配をしたという。

地元警察スポークスマンのシャーリーズ=ヴァン=ダー・リンデン署長は、「怪我人はヘリコプターで近くのフライバーグ病院へと搬送されましたが、医師らは命を救うことはできませんでした。誰がペロさんを撃ったのかということについて捜査をしましたが、現時点では故意に銃を放ったハンターはおらず、人物は特定できていません。ですが引き続き過失殺人事件として捜査を進めていきます」と話している。

ハンターが獲物を狙いやすいように周りをフェンスで囲い、限られた範囲の中で逃げることもままならない動物たちが人工的に飼育され、ハンターらのターゲットになるという環境については動物愛護団体も激しく批判しているようだ。
このニュースを知った人からも「狭い範囲で囲っている動物を撃つのは、狩猟ではなく殺害だろう」「これでひとりハンターがいなくなって良かった」「銃を握る人生を送る奴は、最後に銃で人生を閉じられることになるんだね」「なんで、美しい自然に生きる野生動物を放っておいてあげないんだろう」「これって、自分がしたことが返ってきただけ」「ハンターが死んだことより彼の犠牲になった動物たちに同情を感じる」といったトロフィーハンターへの非難の声があがっている。

画像は『Metro 2018年1月30日付「Big game hunter shot dead while aiming at lion he wanted to kill」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)