質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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皮膚に食い込んだマダニの除去法は?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2013年5月 |
日本のダニ媒介性感染症の主な疾患は、つつが虫病、日本紅斑熱、ライム病等で、日本紅斑熱、ライム病、野兎病、Q熱等はマダニにより媒介される。最近ではマダニが媒介するウイルス性感染症の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が報告されている。マダニに刺咬された場合、マダニの除去と注意深い臨床的経過観察(約1~14日以内の発熱、発疹、遊走性紅斑等)が重要である。
マダニの生態は、幼虫、若虫、成虫と3回脱皮する。幼虫は数mmと小さいので、ほとんどの場合は鋏やメスの背で撫でるだけで取れる。若虫や成虫は顎部(口下片)を皮内に食い込ませて血液を吸う。チマダニ属のような頸部が小さいものは比較的簡単に取れるが、キララマダニ属のような皮内に深く刺入するものでは、引っ張ると頸部でちぎれてリケッチア等の病原体が体内に残るので、頸部で離断しない以下の方法が推奨されている。
① ワセリン法:ワセリンで刺咬部を被覆し30分間放置した後、ガーゼや布でふき取る。窒息したマダニが採取される。ほとんど負荷がない方法で一番望しい。
② 後方刺入法:局所麻酔薬2mLくらいで局所を膨隆させ、外科用または眼科用の曲型両尖剪刀を用いてマダニの虫体下面に沿って刺入する。鋏を開いてマダニの下に空間を作り、潰さないようにピンセットで空間に落とし込むように採取する(図)。創部が小さく縫合を要しないのでワセリン法が無効の場合に考慮する。
③ 皮膚科的にブロックごと摘出。最終手段。
図 後方刺入法 |