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「100号記念、自分人生の経営ハンドブック 要約編(2)」 2004年3月24日 (第100号)


★☆★ 100号を迎えました !!

Private Brain(自立成長型の仕事人へ、自分人生の経営者へ)
は、とうとう100号を迎えました。
これも皆様のご支援の賜物です。

創刊号は、2年以上前の、2001年12月26日。
たしか、「Business Is Simple」というタイトルでした。

「仕事もプライベートも、人はとかく複雑に考えてしまうもの。」
「しかし本当は、もっとシンプルに単純化できるはず。」
「単純化すると、日々もう少し楽になり、進みたい方向に進み易くなる。」
みたいな内容だったかな。

また先日、「創刊号から読んでいます」という読者さんのEmailが来ました。
涙が出るくらいに嬉しいですね。
是非今後は、200号めざしてがんばりますね。

そう言えば、100号を記念してっていうわけではないですが、
またまた私の執筆が、雑誌に大きく取り上げられます。

ソフトバンク・パブリッシングの
ビジスタ(ビジネス・スタンダード)という雑誌で、
「不満上司への対処法」みたいな内容。
4月9日に発売なので、お楽しみに。

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▼▼今号のテーマ▼▼ >>自分人生の経営ハンドブック 要約編(2)

自分人生の経営ハンドブック。先週はその要約編(1)

自分人生の経営者とは?
勝つ、ということは?
戦略と戦術?
特性や強みを見つけるとは?
目標を定め、達成するには? 

今号、要約編(2)は、その続きです。


▼自分の場所と資源配分

自分が戦う場所、得意とする分野を定める、
つまり自分の将来展望の領域(ドメイン)を定めることは、
自分人生を素敵に経営していく上で、非常に重要となります。

そして、限られた自分の資源(時間やお金等)を、
最も有利に戦える場所中心に使っていくことが重要。
ドメインが、自分の成長過程、人生におけるいろんな活動の指針となり、
方向性を示す役割を持つようになるのです。

ドメインを定める際、「自分の定義」を考えると良いでしょう。
自分の定義とは「私ってこんな人、人生、生活」みたいなもので、例えば、
「私は、人に喜ばれる仕事をしたい」 
「私は、金儲けに徹っして仕事する」とか、
「家族と楽しい日々を送る人生が望み」 
「私は、仕事一本やりの人生を歩む」など。

また、自分の定義を考えるには、自分志向法と市場志向法があります。
自分志向法は、自分中心の考え方で、
貴方が思う自分の姿や既成事実から、自分定義をする。
例えば、スキーが得意だから、スキーのインストラクターとして生きていく。
これが自分志向法による自分定義となり、ドメインはスキー関連。

市場志向は、周辺(他人)から見た貴方の姿や価値から、自分定義をする。
これは、「会社が貴方に給料を支払う理由」とか、
「彼女が貴方を選んだ理由」という視点から、自分を定義し、ドメインを
定めるもの。
そして、自分人生の定義付けは、出来れば市場志向で行きたいもの。

自分の定義を考え、自分人生のドメインが定まったら、次に行うのが、
限られた自分の資源(時間、金、知恵等)を、定めたドメインに効果的に
配分すること。
いわゆる、使い古された言葉ですが「選択と集中」ですね。

忙しい現代社会、手広く、いろんなことに手を染めるのもいいでしょう。
でも、「何でも出来る人は、何も出来ない。」 とも言われている時代。
「何でも売っているが、何も欲しいものが無い。」という
スーパーマーケットになることは避けたいもの。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.64


▼自分の分析

ドメインを定め、資源の集中配分を理解したら、
次は「自分の分析」を行いましょう。
その際のキーワードが「Why Me ?」。

自分は、何を売り物としているのか?
自分の「どんな機能」に会社は給料を支払っているのか?
自分の何が良くて、彼女(彼氏)はお付き合いをしているのか?
まさに、「Why Me?」を問い詰めてみるべき時代です、今は。

この「Why Me?」、いわゆる「自分分析」に有効なのが、
「バリューチェーン」という手法。
バリュー(Value)とは価値のこと、チェーン(Chain)とは、連鎖のこと。
そして、価値連鎖のことを「バリューチェーン」と言います。

自動車もパンも洋服も、企画者、製造者、販売者などによる様々な
「付加価値」が、「連鎖的」につながって最終製品となり、
原材料の何倍何十倍の価格で販売されます。
つまり、10円のパン粉が、色んな付加価値を連鎖的に繋げたことにより、
100円で販売されている、ということ。

バリューチェーンとは、機能ごとに分解された「事業活動」の中での
付加価値を分析し、
最も付加価値を生んでいる機能・部分を探し、貢献度を明確にすることが
ポイントです。

同じことを、自分という人間に置き換えてみると、結構面白い発見が
あるものです。
例えば営業マンのバリューチェーンとは、
顧客ニーズの把握機能、ニーズを満たす自社商品の顧客への提案機能、
顧客から受注し販売する機能、商品の納入機能、納入後のアフターサービス
機能、代金徴収機能、次の商談に結びつける機能ーー。

営業というバリューチェーンを見ても、これだけの機能(価値)があるのです。
この機能(価値)の中で、貴方が最も顧客や会社に認められているのは何か?
どの機能(価値)に感謝し、顧客は商品を貴方から仕入れることにしたのか?
どんな機能(価値)に対し、会社は貴方に給料を支払っているのか?
これが、自分分析における、バリューチェーンです。

以上は、営業マンだけに限ったことではありません。
経理、財務、情報システム、企画、製造、設計...
どのようなビジネスや仕事、業務にも、バリューチェーンがあります。

また、ビジネスだけではありませんね。
友人関係、恋人関係、その他の利害関係者。
全て、貴方の「何かの価値、魅力」に対し、他人が時間・お金・その他を
割いている。
そして、この「何か」を見つけ出すことが、自分分析であるバリューチェーン
の目的です。

バリューチェーン分析は、貴方の「何か」を見つけ出すことだけが目的
ではありません。
例えば、貴方の優位性にあまり影響を与えない機能を、外部資源の利用で
補い、一方では、より有効な機能には、貴方の自分資源を更に投入する。

前述した営業マン、最大の付加価値を生む機能が「顧客ニーズの把握」
だとすると、
顧客ニーズ把握に関して、徹底的に自分資源を配分させる。
すると、この営業マンの領域は「営業マン」ではなく、「マーケティング」
になります。

そして、納品とか代金徴収については、他人(他部、他社、部下)に
アウトソース。
「Why You?」を見つけ出すと、より効果的な自分人生の経営となるのですね。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.65


▼外部分析

自分という「内部」分析の後に行いたいのが、いわゆる「外部分析」。
外部分析とは、自分を取り巻く外部環境の中で、自分でコントロールする
ことが難しく、尚且つ、「自分人生」の経営に影響を与えることについての
分析です。

外部分析でよく用いられる手法が「SWOT分析」。
外部分析の目的は、市場において自分が勝つ機会(Opportunities)を探り、
自分にとっての脅威や避けたいこと(Treats)を見つけ出すことにあります。
そして、内部(自分)分析での自分の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)
を把握し、
それを全体で組み合わせたのが頭文字をとってSWOT分析。

例えば、貴方の会社が売上げ減少で困っている(=勝つ機会)とする。
貴方が避けたいことは、リストラの対象となること(=脅威)。
これが外部分析。

貴方は多くの人脈を有している(=強み)が、
懇意にしている友人が少ない(=弱み)。
これが内部分析(自分分析)。

以上のSWOT分析により、会社への売上げ増大の協力(勝つ機会)を、
貴方の人脈フル活用(強み)によりやってみる。
懇意の友人が少ない(弱み)ことはこの際忘れることとし、
リストラ(脅威)を避けることにまずは集中。
なんて感じです。

脅威の分析は、更に、「競争相手」と「新規参入者」に分解します。
新規参入者とは、今までに居なかった競争相手の出現のこと。
例えば経理知識について貴方は社内で認められていた。
でも貴方を上回る会計士が、ヘッドハンティングで同僚になりそうだ、など。

代替品とは、優秀な会計士という人的参入者のことではなく、
経理のアウトソース化によって、経理マンそのものが不必要となってしまう
こと。

こうやってSWOTの中で「脅威」の分析を行っていくことは、
自分人生経営において、「次に取るべき行動」が浮き出てくるものです。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.66


▼戦略の実行

戦う場所を定め、資源の集中配分をし、自分分析と外部分析が終わった。
あとは、定めたゴールに到着するための「戦略」を策定し、戦略を実行
するのみ。

戦略とは、ゴールに到着するための作戦や道順。
駅に向かい道順には色々あるように、戦略という道順も数多く思い浮かぶはず。
一般的に言われている道順(選択枠)とは、自分が戦うドメイン(場所・領域)
内で、他の人々と比較して自分はどのような位置を占めているのかで、
以下3種類あります。

一つ目は「リーダー」というポジションです。
マイクロソフトのように、ある領域(ドメイン)で大きなシェアや影響力
を持っている。
あるいは、○○会社の営業部というドメインで大きな影響力がある人。
これらの人のことをリーダーと言います。

リーダーの「勝つ」定石戦略は、圧倒的に2番手を引き離すことで、
そのために考えられるのが、ディファクトスタンダード化すること。

貴方が、ある領域でリーダーだとすると、貴方の行動・言動・好み等が、
その領域内のディファクトスタンダード。
例えば会議なら、貴方の発言や、望む議事進行方法が、スタンード。
経理マンなら、貴方の経理処理方法がスタンダード。
こうやって、ディファクト化(スタンダード化)することが、何よりもの
選択すべき戦略です。

二つ目は「チャレンジャー」というポジション。
戦う領域には既に「リーダー」が存在する。
しかしいつしかリーダーに取って代わろうとしている企業や人のことを
指します。

もし貴方がチャレンジャーだとすると、そこには次のような定石戦略が
あります。
まずは、リーダーと同じ領域で勝負を挑むリーダー直接対決型。
このタイプであるなら、ともかく真正面から戦い抜くことのみが戦略です。
会議でも飲み会でも仕事の領域内でも、徹底的にリーダーとやりあう。

次に、リーダーがまだ強化していない領域に注力していく背面攻撃型。
このタイプであるなら、巨漢の横綱の背面を狙っていく戦略に徹します。
理論武装を得意としているリーダーがいる会議では、浪花節型で進行してみる。
イタメシとワインに精通しているリーダーが混じった合コンでは、
なんとかして飲み会の場所を屋形船にしてみる。

三つ目は「フォロワー(追随者)」というポジション。
領域内のリーダーに追随し、他の者からの攻撃や反撃を招かない。
これのみに徹底した企業や人をフォロワーと呼びます。
巨大ショッピングセンターの近くで営業する専門店みたいなものでしょうか。
追随は、決してお調子者というわけではなく、あくまで戦うための戦略です。

以上、ドメイン内での自分のポジションに応じて、選択すべき3つの戦略を
述べました。
次に、自分の強み(=貴方という商品)に応じて、選択すべき4つの戦略を
解説します。
4つとは、「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」。

まずは導入期。
その人の強みやウリは、まだ殆どの第三者は認知していない。
例えば、誰もが知らない得意技とか、全く新しいタイプのライフスタイル。

このような「導入期」に自分の強みがある場合の取るべき定石戦略は、
「自分の強みの本質的な機能」を他人に認知させることに専念。
「Why you」の認知ですね。

そして、導入期の他人への認知に一番適しているのが「クチコミ」です。
自分の良さ、強み、ウリを、徹底してクチコミで広げること。
また、クチコミでの「拡販」は、オピニオンリーダーに認知させるのが、
最も手早い手法です。

つまり、「自分の強みを、自分の領域内にいるオピニオンリーダーに認知
させること。」
これに徹することが、戦略です。

次に成長期。
成長期のモノは、需要が急拡大し多くの消費者や支持者が現れ、マス市場が
形成。

自分の「強み」の内容が、ドメインの中で成長期にある場合のとるべき
定石戦略は、「差別化」しかありません。
これら成長期にある「強みやウリ」は、必ず成熟、衰退へと向かいます。
その期に突入するまでに、貴方の差別性を確立しておかないと、
自分自身も成熟から衰退へと陥ってしまうからです。

最後に成熟期と衰退期。
大半の商品が成長期から、成熟期や衰退期に入ります。

自分の強みやウリが、成熟期や衰退期にある場合、2つの戦略があります。
1つ目は、徹底して最後まで貫き通し、なるべくその期間を長く取ろうとする
こと。
2つ目が、持っている強みをさっさと捨て、新しい強みやウリの獲得に努める
こと。

2つ目の戦略は、いわゆる「撤退」です。
今まで蓄積したこと、培ってきた強みを捨てるのって、なかなか出来ないもの。
でも、いかに潔く撤退し、新しいウリの獲得に向かうか。
その時期が遅れれば遅れるほど、新しいところに向かえなくなるものです。

以上、置かれたポジションや持っている強みによって、
選択すべき戦略が異なることを述べてきました。
これら選択した戦略を実行する際のコツを、2つばかりご紹介します。

1つ目は、「ベンチマーキング」という考え方。
他人の優れた部分を学び取り入れていくことを、ベンチマーキングと言います。
この場合の他人とは、自分の領域内の者のみならず、異領域、異文化、異業種も
対象にし、ベスト・プラクティス(最も優れた仕組)を学ぶことにより、
飛躍的な質の向上や改善に結びついていくことが大切です。

2つ目が、「ストレッチ」という考え方。
従来の改善では達成出来ない高めの目標を設定し、
その実現に挑んでいく考え方をストレッチと呼びます。
つまり、背伸びの原理。

優れた企業では、このストレッチの考えを常に取り入れ、
「不可能なことは何も無い」というチャレンジ精神のもと、
「出来ない」ではなく、「どうすれば出来るか」のみを回答として求めて行く。
そんな社風があります。
全く同じことが、自立成長型の人にも当てはまるものです。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.67

以上、要約編(2)。
自分のドメイン、資源配分、自分(内部)分析、外部分析
そして戦略策定と実行について、まとめてみました。

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▼▼上原貴志の「編集後記」▼▼

自分の戦う場所(ドメイン、領域)。
これを定めるのって難しいですね。

イチローや松井のように、日本という野球の場から、
大リーグという場に移れるような逸材は、なんとも羨ましいもの。
庶民の私たちには、夢物語でしょうかね。

でも、「戦う場は、もっと身近の、手の届くレベルでもいいのでは」
って、最近思うようになりました。
世界相手とか、すごいレベルの場ばかりが偉い(すごい)のではないって。

こう思うようになった私は、
チャレンジ精神が衰えてきたのか?
あるいは、現実的になってきたのか?
あるいは、達観するようになったのか?

いずれにせよ、そう思うようになってからですかね、
少しばかり、自分人生の経営に自信が持てるようになったのは。

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▼▼次号のテーマ▼▼ >> 自分人生の経営ハンドブック 要約編(3)

人は1人では生きていけない!
そんなこと、誰もが知っていること。

でも案外、他人の重要性って忘れがちになるもの。
次号「要約編(3)」は、自分人生の経営で非常に重要な、「人ヒトひと」、
3月31日をお楽しみに。




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「自分人生の経営ハンドブック 要約編(1)」  2004年3月17日 (第99号)



▼▼今号のテーマ▼▼ >> 自分人生経営のおさらい

昨年4月から連載している「自分人生の経営」。
戦略、マーケティング、人、ファイナンス。
前号で完結しました。

そこで数週に渡り、おさらい目的に、その要約をお送りします。
題して、「自分人生の経営ハンドブック、要約版」。


▼自分人生の経営者

会社の価値(株価)を高め、従業員をハッピーにさせる。
いろんな面で、良い会社にすることが、経営者の責務であり、
達成出来るか否か、それは、経営者次第。

同じことが、「自分」という人生にも当てはまる。
貴方は「自分という人生の経営者」であり、
「自立成長型の人」になるか否かは、貴方次第。

以上より、会社経営に必要な考え方や戦略思考を、
自分人生の経営に当てはめたものが、本メルマガの主旨です。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0304.html#vol.55


▼勝つこと

会社(企業)には勝ち負けがあります。
ならば、自分人生という会社にも、勝ち負けがあって当り前。

企業の勝負の対象は、同業者(競合相手)。
では、自分人生の勝負の対象は誰でしょうか?
それは、「自分自身」です。

もう少し詳しく述べると、
「過去の自分の最高」と、「将来の自分の目標」が勝負の対象。

過去の自分の最高をクリアしたら「勝ち」。
将来の自分の目標を達成したら、それも「勝ち」。
あくまで対象は自分。

受験戦争や出世競争で勝ち抜く。
合コンで一番人気を取る。
そんな「他人を対象にした」勝ち負けなんて、あまり重要ではありません。
他人を対象とは、勝負の相手が他人ということと同時に、
勝敗を判定する人が他人ということも含まれます。

他人相手の勝ち負けだと、自分人生の経営が他人依存になり、
結果的に、あまりハッピーな人生は送れないこととなります。

例えば「利益重視、短期勝負」型の上司の元では、
顧客の信頼を失おうが、ともかく今期の利益獲得に走ることが、
出世や評価で勝つための手段。

ところが「顧客重視、長期勝負」型の上司に代わったとたんに、
顧客の信頼を失ってしまったので、前述した手段はマイナスとなってしまう。
勝負の相手も、判定する人も他人だと、
こんなことが頻繁に起こるものですね。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0304.html#vol.56


▼戦略と戦術

勝つためには、戦略と戦術が必要です。
やみくもに鉄砲を打っても、戦いは勝てないのと同じように。

戦略とは「長期的展望に立って定めた目標を、達成するための計画・作戦」、
戦術とは「戦略を実行するために使う手段、テクニック」
のことです。

目標が「社長になる」。
戦略が「得意なIT関係で独立起業する」なら、
戦術が「まずはJavaの知識をフル活用する」
で、やることが「Javaのプログラミング能力を高める」
とでもなるでしょうか。

これは、目標設定→戦略設定→戦術決定→その実行。
という順番が大切なことも、表しています。
この逆はダメですね。

戦略や目標が定まっていないのに、戦術を手に入れようとする。
あたかも、目指したいこともわからずに、人気の資格を取りに行く
ようなものです。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0304.html#vol.57


▼戦略を立てる

では、戦略って、どうやって立てるのでしょうか。

1、自分の理念やビジョン、あるいは夢を描く。
2、次に、ビジョンや夢を具体化したもの「目標」を定める。
3、定めた目標を達成させるための作戦を考える。
4、考え出した作戦(戦略)を実行してみる。
5、実行した結果を見て、目標を再設定する。
いわゆる、Plan-Do-Seeの繰り返しですね。

ここで忘れてならないのが、定める目標は、
自分の長所(強み)を発揮することによって達成出来る内容であること。

更に、自分の長所(強み)は、自分の特性(個性)の範囲内にあることです。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0304.html#vol.58


▼特性を見つける

では、自分の強みを見つけるために、まずは自分の特性を見つけてみましょう。
特性とは、気質、人格、性格、個性、特性、パーソナリティーの総称で、
個人の思考パターン、行動パターンのこと。
学問的には次の5種類に分かれます。

1 固執的特性
次のような単語が口癖の人は、この「固執的」特性が強いと言えます。
”当然だ”、”すべきである”、”でなければならない”。

自分の価値観に固執し、合っているものはOKで、
合っていないものは排除してしまうのが特徴です。
そして、指導的で責任感が強いことを発揮出来る分野。
ここで自分の強みを探すことが、いいと思います。

2 思いやり特性
”まかせなさい”、”心配しなくていいよ”、”何とかしてあげます”。
このような口癖の人は、「思いやり」特性が強いと言えます。

外部の人々が幸せなら、自分も幸せだ、って思う傾向があり、
愛情に関わる原体験が強く影響し、母性的感性が強いのが特徴です。
そして、人の世話をしたり、相談を受けたりするような分野。
ここで自分の強みを探すことが、得策だと思います。

3 論理的特性
”論理的には”、”合理的”、”事実関係は”。
このような口癖が、「論理的」特性の強い人に多く見られます。

物事を、白か黒、プラスかマイナス、適正か不適正、などに割り切る特徴
があり、何よりも合理性、論理性を重んじます。
そして、状況を冷静に分析したり、合理的判断が求められる分野。
ここに、自分の強みがあることでしょう。

4 攻め特性
”自分をよく見せたい”、”大まか、アバウト”、”攻め”。
これが、「拡散・発展」特性の人の口癖です。

今ある状況を変え、自らを拡張、発展させることにエネルギーを費やし、
現状維持では満足出来ないのが特徴です。
そして、革新的、創造的なことに関連する分野。
ここに、自分を活かせる場所があることでしょう。

5 守り特性
”自分がよく見られたい” (見せたい、が「攻め」特性)、”安全”、
”このまま”。
「守り」特性の人が発する口癖です。

今ある状況を維持し、リスクを冒してまで何かを得ようとはせず、
保全を優先する特徴があります。
そして、几帳面で継続的な資質が求められる分野。
ここに、長所を伸ばせる何かがあると思います。

自分の強み(長所)は、これら特性の中に必ず見つかります。
まずは、自分の特性を分析し把握してみましょう。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0304.html#vol.59


▼強みを見つける

特性を見つけた次に、自分の強みを見つけるにはどうするのか?
一つ目は、自分の成功体験を列挙してみること。
どんな小さなことでもいいので、小学校時代くらいから思い出し、
成功体験を挙げてみてください。
必ず、自分の強みに関連した出来事があったはずです。

二つ目は、ワクワクした出来事を思い出してみることです。
ワクワク感のあったことって、間違いなく好きなこと。
好きなことに関する何かが、自分の強みの一つです。

三つ目は、自分の棚卸しをしてみること。
棚卸しとは、「どんな資産」を持っているかの整理。
但しここでは、不動産や貯金など「見える資産」ではなく、
友人家族、知識情報、専門性や趣味など「見えない資産」が対象となります。
強みが、それら資産の中に、必ずあるはずです。

四つ目は、将来こうなっていたいなーっていう意志の中に、必ず自分の
強みがあります。
なってみたいなーっていう意志。
この意志の力って、何よりもすごいのです。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.60


▼目標を定める

そして、目標を定めるにはどうするのか?
それは、夢を描くことから始まります。

では、夢を描くには?
「あーいいなー」
「幸せだなー」
こう思えるシーンを思い続けること。
それがコツです。

夢なんて、別に高尚な内容じゃなくていいです。
高いレベルのものでなくてもいいです。
「いいなー」って思えるシーン。
それで十分。

目標は、夢に到着するための通過点。
夢が到着駅で、目標が途中駅です。

よって、目標の設定は、夢までの「道のり」を定めることから始まります。
山頂を目指す場合に、行く道のりを定めるのと同じです。
1合目、2合目ーーー。これが目標。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.61


▼目標の達成

最後に、折角定めた目標も、達成出来ないと意味がありません。
では、目標達成のためのプロセスとはどんなものでしょうか。

まず、目標の内容自体が、
「具体性があること」、
「動機・意欲が高まること」、
「達成可能なレベルであること」、
「他のことと関連性があること」、
「達成度合いが把握出来ること」、
そして「プロセスが楽しめること」。

であることが大切です。
これらの一つでも欠けていると、目標達成は非常に困難な道となります。

そして、目標達成に大切なこととして、「潜在意識に刻み込む」ことと、
「ちょっとしたストレッチ」も挙げられます。

「この目標は達成出来る」。
「達成した自分を想像してみる」。
その思いが潜在意識に刻まれると、自然のポジティブな行動、考え方が
出来るようになるのですね。

ストレッチとは、「ちょっと伸ばす」ってこと。
日々の行動で「ちょっと手を伸ばせば」届く。
そんな「ストレッチな目標」を持つ事も大切です。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.62

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▼▼上原貴志の「編集後記」▼▼

未だに私は「自分の特性や強み」が、明確化できていません。
結果、未だに私は「自分の夢や目標」が定めきれていません。
夢や目標が定まっていないから、自分人生経営における戦略が
今ひとつ、フラフラしているのも事実。

いつもエラソーなことをメルマガで言っていますが、
実体はこんな状況なのです、本当は。

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▼▼次号のテーマ▼▼ >> 要約 Vol.2

自分人生の経営ハンドブック。
その要約版、Vol.2です。

戦う場所を集中させる?
自分分析って?
外部分析って?
そして、目標達成に向けての人生経営戦略の実行とは?

次週3月24日をお楽しみに。




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「自分って、安全?」  2004年3月10日 (第98号)



▼▼今号のテーマ▼▼ >> 自分の「財務分析」

見えない資産を重視した余りに、借金漬けとなってしまった。
それでは元もこうもありません。
今号は、「自分という会社」の財務分析についてです。


▼財務分析

自立している企業ほど、「明日のCash」に多大なる注意を払い、
いわゆる「自社の安全性分析」をしています。

成長している企業ほど、「成長の中身」に最大の関心を払い、
いわゆる「自社の成長性分析」をしています。

そして優良な企業ほど、「自社の姿」を多面的に把握しており、
いわゆる「自社の財務分析」をしています。

自立成長型の人、自分人生の経営者も同様。
自分を「会社」と見たてて、
明日のCash、自社の成長、そして自社(自分)の財務分析を
常日頃行っています。


▼何を分析

では、「自分の財務分析」って、何を分析するのでしょうか?
主に次の3つに分かれます。

1 個別分析
不動産や株への投資という「お金の投資」や、
時間という資源を使って給料を貰う「時間の投資」など、
具体的な投資に関しての分析です。

2 安全性分析
世の中、金が全てではないこと、言うまでもありませんが、
金が足りなくなって、自分倒産(いわゆる自己破産)は避けたいもの。
そのために行うのが「安全性分析」です。

3 成長分析
自分という資産の価値を高めていくのが自立成長型の証となるが、
どらくらい成長したのか、その内容や成長速度を分析する。
そのために行うのが「成長分析」です。

ではこれら3つの「自分財務分析」を以下解説してまいります。


▼個別分析

アパート経営とか不動産小口化商品など、不動産投資がブームです。
また、株や債券、ファンドへの投資も、その熱は高まる一方。

自分という会社(資産)を経営するに際し、
見えない資産を増やすことが最も重要だ、とは申しましたが、
それでも「見える資産」の代表であるCashも、
それなりに増やしていきたいというのが、多くの人々の本音では?

ここで挙げる「個別分析」とは、そんな「お金や時間」を投資する際に、
必ず身に着けておきたい分析手法です。


▼ネットで計算

まず、お金の投資で大切なのが、収益をネットで計算すること。
ネットとは、「収益から経費を差し引いた、純利益」という意味。

よく、「高利回り8%」なんていう投資商品を目にしますが、
中身をジックリ読んでみて下さい。
不動産などの場合、利回り8%と言いながら、実際には
そこから税金や修繕費、管理費などが別途かかり、
それら経費を控除すると、ネット利回りが5%にも満たないものがあります。

ネット利回り5%と言っても、投資した不動産に賃貸人が入らなかった場合、
収入はゼロ=利回りはゼロ、となります。
いや、税金等の経費は賃貸人がいなくてもかかるので、
利回りマイナスですね。

このように賃貸人が入らないという「期待した収入が入らない」リスクも
勘案して、その投資は得なのか損なのか、考えるべきですね。

場合によっては、そのリスクを勘案すると、
0.01%の銀行預金の方が、得な投資、となるかもしれません。

同じように、いろんなファンドが世の中に出回っていますが、
ファンドには、必ず「ファンド運営者」の手数料がかかります。
当然、利回り計算は、これら手数料を控除したネット利回りで行うべき。


▼時間投資も同様

お金の投資と同様に、「時間」という投資も、ネットでの分析が必要です。
時給いくら、年収いくら、というのはあくまで表面上のこと。

社会保険負担費などどらくらいを企業側が負担しているのか。
交通費は、住宅費は、その他福利厚生費は。
など、プラスマイナスを総合したネットでの収入を計算し、
投資すべき(投資した)時間で割ったもの。
これが、時間投資に対する金銭的利回りとなります。

これは、金銭的な利回りだけに用いられるのではありません。
何かプロジェクトを行うとき。
実際に得られる成果を、かけた時間で除する(割る)という、
時間当たりの成果という「成果利回り」もあります。

何週かにわたって「投資」に関するメルマガを配信しましたが、
自立成長するのは、日々の投資の積み重ね。
それだけ投資という概念や、その分析は、
自分人生経営に重要だということなので、
是非、自分投資の個別分析を、心がけてください。

そして個別分析では、ネットの利回りで比較すること。
お金の投資も時間の投資も、それが基本となります。


▼安全性分析

次に「安全性分析」について述べてみます。

「宵越しの金は持たねえ!」
っていう江戸っ子気分も、男らしくていい。
でも、現実問題、明日のCashくらいは心配したいもの。

企業でよく見られるのが「黒字倒産」。
そう、利益をあげている(黒字)なのに倒産する、という不思議な現象です。
黒字倒産は、「明日のCash」をしっかりと分析・把握していなかったことが
主な要因です。

企業では、そうならないために安全性分析というのを行います。
これは、返さなくてはならない借金と、
その原資となる資産(あるいはCash)と比較するというもの。

具体的には、資産を負債(借金)で除し(資産/負債)、単位は%です。
そしてこれを「自分人生の経営」にも当てはめてみましょう。


▼流動比率

預貯金や、いつでも売却できる上場株式など、
「一両日中に現金に変えられる資産」を、流動資産といいます。

住宅ローンの今年の支払額とか、友人から借金したお金など、
「1年以内の返済義務のある負債」を、流動負債といいます。

そして、流動資産を分子に、流動負債を分母に(資産/負債)計算し、
その%を算出して下さい。
それが「”自分”という会社の流動比率」となります。
200%以上、少なくとも150%以上になっていれば、まあ安全でしょう。

借金とは、「必ず返さなくてはならないもの」だし、
返さないでいると、銀行の場合、個人破産に追い込まれ、
友人だと、信用を失ってしまう。

一方、現預金や株式などの資産は、いつ目減りするかわからない。
なぜなら、銀行の倒産、株式の下落などがあり、
今日100万円だと思っても、明日10万円になるリスクがある。

以上より、1年以内の返済義務の額の2倍、200%程度は、
一両日中に現金に変えられる資産として、持っていたいものです。


▼カバレッジ・レシオ

流動比率と並んで「短期の安全性」を分析するのが、
カバレッジ・レシオです。

これは、分子に「この1年間で得られる見込みの現金」を置いてください。
給料、投資した先からの配当などがメインでしょうか。
分母には前述同様に、この1年以内に返済義務のある借金です。
(得られる見込みの現金/1年以内の返済義務借金)

150%以上、少なくとも100%以上であれば、まあ安心ですね。


▼固定比率

住宅や自動車など、長期使用(保有)するものを固定資産といいます。

来年以降に返済する住宅ローンや自動車ローンの残高など、
返済義務が長期に渡るものを固定負債といいます。

そして、固定資産を分子に、固定負債を分母に(資産/負債)計算し、
その%を算出して下さい。
それが「”自分”という会社の固定比率」となります。
150%以上に、少なくとも100%以上であれば、不安がる必要は
ありません。

借金(負債)のうち、長期に渡るものは、
「将来の収入」を返済に充てようとしている人が多いのでは。
その際、万が一、将来の収入が得られなくなっても、
きちんと返済できるだけの「固定資産」を持っていたい、ということです。

尚、固定資産の計算は、いわゆる「時価評価」して下さい。
時価評価とは、「もし今売るとしたら、いくらになるのか」です。

例えば住宅の場合。
Yahooなどの不動産ポータルで同様の不動産を選んでもいいし、
駅前不動産屋に言えば、5分で概算を教えてくれます。

自動車、オーディオなども同様。
中古として売られている同式同型の金額の5掛けくらいで計算。
わからなければ、これも買った値段の2掛けくらいで算出しましょう。


▼安心して生活、積極的な攻め

以上、自分という会社の安全性を分析しました。
借金が返済できずに個人破産することを避ける。
こればかりが、安全性分析の目的ではありません。

いや、どちらかと言うと、次のことが目的です。それは、
1 日々のCashに関心を寄せずに生活するため
2 積極的に人生を攻める時のため
です。

人間、日々のCashやその他の義務に振り回されると、
本来、やるべきこと、やりたいことが出来なくなります。
つまり、自分人生の経営において、やるべきことが出来ずに、
返済やその労苦のために時間が取られてしまうということ。
これは是が非でも避けたいですね。

また、自立成長するためには、ある機会・時期に、
冒険というのが必要になるかもしれません。
ところが、Cashの心配をする余り、冒険を回避せざるを得なくなる、
あるいは冒険心が萎縮してしまう恐れがあります。

安全性分析はこのように、倒産を避ける目的のみならず、
自分経営、自立成長のためにも必要だということですね。


▼成長分析

自分財務分析の最後が、成長分析です。
要は、「どれだけ自分が成長したか」を分析するもの。

前々号の「自分資産」の評価をご参照下さい。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0402.html#vol.96

ここでは、自分という資産の価値を、昨日現在で100と置き、
いろんな項目にそれを細分化しました。

成長分析とは、細分化した各々の項目が、
前年と比べどれだけ増えたのかという「項目分析」と、
自分資産の価値100が、
総合でどれくらいの割合増えたのかの「総合分析」に分かれます。

項目分析は簡単ですね。
100という自分資産の中に占める「見えない資産」は85。
85のうち、人脈という資産は30。
これが、前号のやり方で36になったとすると、増えたのは6。
よって、6/30=20%が増加率となります。

人脈という資産を含め、自分資産が10増えたとします。
すると、10/100=10%が、自分資産総合計の増加率。
これが総合分析となります。

ここまでであれば、成長分析もあまり意味がありませんが、
翌年から意味を成します。

つまり、同じ増加率で自分成長するには、
100が110に増えた翌年、10の増加ではダメです。
分母の「自分資産」の総量が増えているので、
同じ増加率を達成するには、増加する量も増やす必要があります。

こうやって、自分資産の総額が増えていくに従い、
毎年増やそうとする自分資産の量も、
前年と同じでは満足しなくなる、この循環が望ましい姿となります。
要は、今年は10増えただけで満足なのが、
来年は10だけでは不満足、もっと増やそうという意識になる。


▼最後に

自分という「会社」が投資する個別の分析。
自分という「会社」の安全性の分析。
自分という「会社」の成長性の分析。

実際には、あまり数字に拘る必要はないでしょう。
ただ、少なくとも一度、数字化してみて、
「安全や成長」を漠然と望むのではなく、
もう少し明確に意識して生活すること。
これが何よりも大切ですね。

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▼▼上原貴志の「編集後記」▼▼

過去、私の「安全性分析」は、一桁%の時がありました。
カードローンの支払い額が、ネットの受け取り給料よりも多い、
そんな月もあったくらいです。

「個別分析」もしていませんでした。
なんとなく値上がりするのでは、程度で、
投資を行っていたもの。

「成長分析」なんて、念頭にすらなかった。
だからいつまで経っても、自分が成長しているのか否か、
わからない状態でした。

なんとも悲惨な、情けない時代が、随分と長かったのだなー
っていうのが、今の実感です。

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▼▼次号のテーマ▼▼ >> 自分人生経営のおさらい

昨年4月から連載している「自分人生の経営」。
戦略、マーケティング、人、ファイナンス。
各主要項目が今号で完了。

ついては、4月から始まる「新シリーズ」を前に、
3週に渡り、そのおさらいをお送りします。

次週、3月17日をお楽しみに。





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「自分価値の向上のために」  2004年3月3日 (第97号)


▼▼今週のテーマ▼▼ >>価値向上のためには

前号では、自分という資産の価値算定についてお話しました。
前々号で述べた「預貯金とか不動産」という見える資産のみならず、
「人脈とか知見」など見えない資産も含めて。

また、円とかKgなどの単位は付けずに、単純に100という数値で出すことも。
そして今号は、自分価値を向上させるためには、
算出したその数値を、どう用いればいいのかを、お話しします。


▼漠然 vs 数値管理

単に走るだけのマラソンと、
「5km通過、10km通過。」と把握しながらのマラソン。

「ダイエットしたーい。」って言って、ただ何となくやっている人と、
「体脂肪、先月よりも5%減った」という人。

ゴルフの上達を目指しているも、漠然とプレーや練習している人と、
「今年のベストスコアは80を目指す。」という人。

いずれも後者の方が、目標達成確率は高いだろうし、
やり甲斐もあるし、最中の楽しさも多いのでは。

企業も同じですね。
「売り上げを伸ばすぞ。」 ではなく、
「昨年度の売り上げの10%アップを目指せ。」
の方がいい。

あるいは、単に全体の売り上げ10%アップというのではなく、
A商品は15%、B商品は5%、合計で10%アップって細分化
するほうがもっといい。

人も企業も、自立成長する、しっかりと経営しているのは、
このように「定量的に成長、あるいは成長過程を把握」
しているものです。


▼自分価値の数値化

前号で、見える資産+見えない資産=自分という資産の価値
というように、自分の現在価値を定量化したのは、
前述した「定量的に把握する」ことが目的です。

以前、「目標の達成」というメルマガを配信しました。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.62

ここでは、目標達成するためには、
「目標に具体性があること。」、
「目標達成の動機・意欲が高まること。」、
「目標の達成が可能なレベルであること。」、
「達成したい目標が、他のことと関連性があること。」、
「目標達成の進歩度合いが把握出来ること。」、
そして「目標達成の過程(プロセス)が楽しめること。」。

と述べましたが、自立成長、自分人生経営のためにも、
全く同じことが当てはまります。
そしてその中にある「進歩度合いが把握できること。」
これが、前号と今号で述べている「自分資産の価値算定」に繋がるのです。

自立成長しながら自分人生を経営する。
成長するためには「具体的にどれくらいに」っていう目標があるほうがいい。
目標達成には、その途中の達成度合いを把握したい。
そのために、いろんな「自分の現在」を数値化するってことです。


▼どれが重要項目か?

では、具体的に算出した自分価値を用いて、どのようなことを
すればいいのかを、今号の残りと次号にて述べていきます。

まず最初にやることは、
「どの項目を優先するか、重要なのか。」の把握。
自分資産を構成する項目を、大から小まで細分化し、
各項目の比重の合計を100としたものを、「自分資産の構成表」
とする。これが前号で説明したことです。

この中で、最も比重が高い大項目、あるいは小項目を、
上位から準に並べてみてください。

例えば次のような構成の人

見える資産(現在所有) ; 4
  内訳  預貯金    ; 1
       不動産    ; 1
       その他    ; 2

見える資産(将来獲得) ;11
  内訳  給料      ; 8
       その他    ; 5

見えない資産      ;85
  内訳  人      ;30
       知      ;30
       経験     ;15
       ブランド   ;10

総合計          ;100


▼順番並び替え

大項目を並び替えると
見えない資産      ;85
見える資産(将来獲得);11
見える資産(現在保有); 4
となります。

どう見ても、見えない資産の比率がダントツ。

見えない資産の中にある項目の順番は、
人、知、経験、ブランドとなります。


▼強弱、優劣

人も企業も、時間や金などの「資源」に限りがあること言うまでもありません。
自立成長する自分人生経営者も、優良な企業の経営者も、
「どれを優先するか、どこに資源を集中すべきか。」が明確です。

そして、前述した項目の順番付けが、これに役立つのですね。

「そんなもん、わざわざ点数付け、順番付けしなくてもわかるよ!」
っていうのが、大半の方のご意見なのでは。
もちろん、その通りです。

でも、わかっちゃいるけど出来ないのが、人間であり企業である。
だから、あえて明確に、視覚的に、
「どれが優先、どの順番、どれくらいの比重」ってのを定めることが
重要なのです。

前述例では、見える資産である預貯金を増やすよりも、
見えない資産を増やすことに、時間やお金の使い方を集中する、優先する。
見えない資産の中でも、特に知見や知識という「知」の資産を重視。

とかく、「株に投資して資産を増やそう」とか、
「ともかく働いて、給料を上げていこう」って、
世の中の当たり前的な風潮に左右されがちなもの。

でも、もし前述したような比重を置いている人なら、
たとえ見える資産を増やしたとしても、それは「自分価値」
の中では、大して影響を与えない。

だから、金融資産を増やすよりも、
自分の中で比重が重い項目に「知」関連という資産を増やすことに、
時間を使うようになるでしょう。


▼更なる細分化

また、同じ「知」という資産に重きを置くにしても、
雑学なのか仕事関連なのか。
教科書で学べることなのか、経験が伴うことなのか。
これも人それぞれで重きが違うもの。

この辺を明確にするためにも、
30という量の「知」資産を、更に細分化してみると面白いです。

例えば「知」の資産を最も増やす項目は「歴史を学ぶこと」となったとする。
すると、「自分資産、自分価値」を高めるには、
 1 見える資産よりも見えない資産を重視。
 2 見えない資産の中でも「知」資産を重視。
 3 「知」資産の中でも、歴史を学ぶことを重視。

というように、より具体的に重視項目が明確になってきます。
そこに自分時間、自分お金の配分を重点的に行うのです。


▼時系列

「自分資産」を数値化したもう一つの目的が、「時系列」比較を行うためです。
企業の成長は、昨年よりも売上高とか、株価とかが高まること。
昨年よりどれだけ高まったかを比較していくことを「時系列比較」と言います。

自立成長型の人、自分人生経営者も同じ。
自分資産の各々の項目が、昨年、一昨年よりどれだけ増えたのか?
来年、5年後にはどれくらいにしておくことが目標か?
など、時系列比較をすると、自分成長には非常に効果的です。

例えば、「人」という資産の時系列。
人資産の総量が30だとし、それを細分化すると、
親友中の親友: 15 
単なる親友  :  6 
友人      :  4 
仕事仲間   :  3
単なる知合い :  2
合計      : 30

となったとします。

親友中の親友は15
現在のその人数が10人だとすると、
2人増えたて12人になると2割増なので、
親友中の親友15は、18となる。

すると「知」という資産も3つ増え32。
自分資産の合計も103となる。

こうやって、具体的な「増加減少」の数を、定量化した
自分資産の数値に置き換えられるようにしておきます。

前述例の場合、多くの異業種交流会に行ったり、合コン
を繰り返すよりも、親友中の親友とジックリ関係を深める
ほうが、自分資産の向上には大きく貢献することとなります。


▼最後に

以上、無理矢理に定量化した感じを持つかもしれません。
見えない資産を定量化するのには、やや無理もあります。

また、親友とか、知識とかを、定量化して「増やしていこう」なんて、
現実的ではないかもしれません。

実際にはそれでいいのです。
今号で申し上げたいことは、漠然と時間やお金を使うのではなく、
どこに重点を置くかを、明確にしておきたいということ。
そして、自分の成長度合い、達成進歩を把握しておきたいということ。

そのために、ある程度無理にでも、定量化すること、
そして時系列化することが、望ましいということです。
ダメもとで、是非一度、やってみてください。

また、決して「見える資産」を重視すべきでない、ってことではありません。
人によっては、ともかく預金や株などの資産を増やすことを重視。
これはこれで有りです。

よく、「金に目がくらむ人はダメ、それよりも人柄とか友人重視すべき」
論とか、
その逆で、「ともかく金があってのもの、金持ち父さんを見なさい」論がある。

でもそんなもん、人それぞれでいいのではないでしょうか?
いずれにせよ、自分資産の項目、その比重構成は、その人だけのもの。

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▼▼上原貴志の「編集後記」▼▼

この年になってようやく、知合いの数よりも、
親友の数を重視したいという心境になりました。

以前は、年賀状の数やアドレス帳の人数が増えることに、
なんとなく嬉しさを持っていたのですが。

よく、一流企業の役員をやっていて、年賀状は山と来るし、
盆暮れの付け届けもすごい数。
ところが会社を辞めた途端に、どちらも半減どころか、9割減。
そんな例をよく耳にします。

私もそうならないように、自分資産を整理してみました。
結果、見える資産よりも見えない資産。
見えない資産の中でも、人、知などの資産を重視。
人の中でも、やはり親友、近い存在に重きを置く。
そう「戦略転換」しました。

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▼▼次号のテーマ▼▼ >> 自分の「財務分析」

見えない資産を重視した余りに、借金漬けとなってしまった。
それでは元もこうもありません。

次号は、「自立成長型の人のためのファイナンス」の最後。
「自分の財務分析」、3月10日をお楽しみに。




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「見えない資産の計算」  2004年2月25日 (第96号)


▼▼今週のテーマ▼▼ 

>>見えない資産の計算(自分価値/後編)

自分価値を算出するのは、自分資産ー自分負債
だが、自分資産を金銭的に算出するのは難しい。
なぜなら、知識、人脈、経験、自分ブランドなどが、
見えない資産のことだから。

また、自分資産の大半は、見えない資産。
だから、見えない資産の価値を算出する方が重要だ。

ならば、金銭的には無理にしても、
なんとか定量化したいもの。


▼人の価値って?

まず、簡単に前号のおさらいをしましょう。
前号では、人の価値を、自己資産から自己負債を差し引いて、
金額で算出しました。

ただ、
1 そもそも人は、金額で計るものではない。
2 金額で計るとしても、それは人の価値のほんのごく一部でしかない。
3 人の価値の大半は、「見えない資産=金額で計れない資産」が
占めている。

ということでした。

そして今号は、人の価値の大半を占める「見えない資産」を、
どうやって定量化するのか、です。

定量化しないと、「自分の価値がどれだけ高まっているのか」が
把握出来ない。
「自立成長型の人」になるには、どれだけ成長しているか、
把握しておきたいもの。


▼見えない資産の定量化

では、どうやって、見えない資産を定量化するのか。

まず、昨日の自分の姿を100と置いてください。
ここには「円」とか「kg」など、単位はありません。

そして明日以降、100という自分価値、自分資産の量が、
どれだけ増えているのか、成長しているのか、
その推移を定期的に見ていくことが、
「自立成長」をするためのやり方となります。

詳しい方法は、後ほどご紹介します。


▼自分の過去と勝負

なぜ、「自分の昨日の姿を100」とするのか?
一つ目は、昨日までの自分を後悔しても意味無しだからです。

「もっとこうやっていれば」とか、「あそこで失敗しなければ」
なんてことは、失敗を成功に活かすという意味では良いことですが、
自分価値という観点からは、無意味。

だから、現状の姿である「昨日の自分」を100とすることから始めます。
この辺は、先日お送りした「埋没費用」を参考にして下さい。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0312.html#vol.93

次に、「他人と比較する」よりも、「自分の過去と比較する」ことが、
自立成長型の人になるためのポイントです。

あくまで比較対照は、他人ではなく「昨日の自分」
よって、100という数値には、単位が必要ありません。
(そもそも円やkgなどの単位は、他人(物)と比較するためのもの)
この辺については、「過去の自分に勝つ」という、
以前に配信したメルマガをご参照下さい。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0304.html#vol.56


▼自分資産(価値)の算出

では、見えない資産を含めた、トータルの自分価値(自分資産)
その定量化方法を解説します。

まず、自分資産が、次のように細分化されることを理解してみてください。
1 見える資産(現在所有しているもの)
2 見える資産(現在所有してなくて、将来手に入ると予測されるもの)
3 見えない資産

1と2は前号説明した通りです。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0402.html#vol.95

具体的には
1は、預貯金、株、不動産など。
2は、将来受け取るだろう給料その他収入。

そして3が、自分資産の大半を占める「見えない資産」。
主な項目として、
人という資産(人脈、家族、友人、知人など)
知という資産(知識、知恵、専門性など)
経験という資産(体験、経験、成功例、失敗例など)
ブランドという資産(信頼、イメージ、価値観など)


▼細分化(ブレークダウン)

次に、前述した1から3までの資産項目に関し、
自分がどれだけ価値観を置いているか、重要視しているかを
考えてみてください。

1,2、3の3つにのみ細分化するのでもいいですが、
出来る限り、各々の中にある具体的項目にまで、
細分化してみて下さい。

例えばこんな感じに

見える資産(現在所有) ; 4
 内訳  預貯金     ; 1
      不動産     ; 1
      その他     ; 2

見える資産(将来獲得) ;11
 内訳  給料        ; 8
       その他     ; 5

見えない資産      ;85
 内訳  人       ;30
      知       ;30
      経験      ;15
      ブランド   ;10

総合計         ;100

更に、具体的項目をもっと細分化することも、出来る限りやってみる。  
例えば、見えない資産の中にある「知」の30を細分化すると、
 仕事に関する知識   ;10
 人間性に関する知見   ; 5
 趣味に関する知恵   ; 5
 その他の知       ;10

なんて具合に。


▼各々で異なる

以上のように、自分の昨日の姿を100とし、
それを大きく三つに分け、
各々に具体的項目を挙げ、
更にそれらを細分化する。

これは、各人によって内容が大きく異なります。
100という自分資産価値を、三つの大項目にどのように配分するのか。
大項目の中にある具体的項目は、何にするのか。

他人と比べる必要は全くありません。
配分も項目も、貴方だけのオリジナルで結構です。

「そんなことやって、何の意味があるの?」
「こんなこと出来ないよ、わかんないよ!」
っておっしゃる方、
騙されたと思って、稚拙でも簡易でもいいので、
やってみて下さい。

今週はここまでですが、
次週に、皆さんが自分資産の価値を細分化し、
100を比例配分したことに対し、
それをどう、「自分人生の経営」に活かすのか。
その辺をお話し致します。

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▼▼上原貴志の「編集後記」▼▼

前述の、細分化した自分資産への比例配分。
実は、私の昨日の姿を、自分なりにやってみたものです。
(もっと細かくやったのですが)

 見える資産(現在所有)  4
 見える資産(将来獲得) 11
 見えない資産       85

一方、想像ですが、10年前の自分の姿を配分してみると、
 見える資産(現在所有)  1
 見える資産(将来獲得) 15
 見えない資産       10

だったような気がします。

見える資産は4倍程度になりましたが、
100の中に占める割合が少ないので、
自分価値向上には、大きく寄与していないようです。       

見えない資産は8倍以上になり、
しかも自分資産に占める割合が高いので、
それなりに自分価値は向上したと考えています。

まあ所詮、自分で計算した”ひとりよがり”
「それがどうしたの?」
って言われるとそれまでですが、
あくまで、自分のための計算であり、ひとりよがりでいいのだと
思っています。

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▼▼次週のテーマ▼▼ >>価値向上のためには

今号は、自分資産の価値についてお話しました。
で、それはあくまで次号のためのもの。

次号 3月3日では、
自分価値を向上させるためにはどう考えてけばいいのか?
その辺のことをお話しします。





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「自分の値段って、いくら?」  2004年2月18日 (第95号)


▼▼今週のテーマ▼▼ >>自分の値段って「いくら?」

時間、カネ、人、モノ、情報、知識などの自分資産を投資し、
各々の自分価値を高めていくこと。

では、自分価値、自分資産の価値って何?
それをどうやって計るの?

マンションなどの見える資産の価値計算は?
ヒトや情報、知識など、見えない資産の価値計算は?

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▼二回に分けての配信

「自分の価値」について、今週と次週、二回に分けて配信します。

今週は、「自分の価値」を、企業の価値と同様に、
金銭的に計ることについて。
但し、金銭的に計ることの出来る自分価値なんて、
自分価値のごく一部でしかありません。

次週は、金銭的に計ることの出来ない価値を、
どうやって、自分価値として算出するのかについてです。
そして、この「金額的に計ることが出来ない価値」は、
自分価値総額の中で、大半を占めます。

よって、「自分価値」のメインは次週となりますが、
次週の話をスムーズに理解していただくために、
あえて今週は、金銭的に計れる自分価値を中心に解説致します。


▼成長しているかどうか?

企業は、今日よりも明日、成長していることを目指し経営されています。
自立成長型の人も同じ。
「自分人生」という「会社」が、今日よりも明日、成長していることを目指し、
自分人生を経営。

では、どれくらい成長しているかを計ることって可能なのだろうか?
企業なら一目瞭然ですね。

貸借対照表(B/S)の左側、資産の合計額から、
右側の負債の合計額を差し引いた「資本の合計額」を、
「企業の正味の価値、真の価値」である「自己資本」と言います。
そして、企業の成長を計るには、自己資本がどれくらい増えたかで分かります。


▼自分という価値

前述した「企業・会社」を、「自分」に当てはめてみましょう。
自分の資産の合計から、自分の負債の合計を差し引き、
正味の自分の資本(=自分の価値)を算出する。

というわけで、以下、自分の資産や負債について、
解説していきます。

まずは資産から。

企業の場合と同様、自分資産とは、
現金や預金などの「流動資産」
不動産などの「固定資産」
その他、見えない資産である「無形資産」
に分かれます。


▼自分資産の計算方法/流動資産

では、金銭的な自分価値を算出するために、
自分資産を計算する必要があります。

まずは流動資産から。
現金預金は、そのままの金額でいいです。
但し、友人に貸したお金などは、
貸した金額の8掛けくらいにしておいて下さい。
あまり近い存在ではない知り合いに貸したお金は、金額の5掛けが妥当でしょう。

上場している株式投資をやっている方は、
投資した金額ではなく、今日現在の株価に置き換えて計算して下さい。

その他、数ヶ月以内に確実にもらえるお金、
例えば来月のボーナスとか、未収の給料なども、そのままの金額でいいです。


▼自分資産の計算方法/固定資産

住んでいる、あるいは投資したマンションなどの不動産は、
買った値段ではなく、今日どれくらいで売れるかの値段に
置き換えてください。

置き換え方は簡単。
Yahooなどの不動産ポータルで同様の不動産を選んでもいいし、
駅前不動産屋に言えば、5分で概算教えてくれます。

自動車、オーディオなども同様。
中古として売られている同式同型の金額の5掛けくらいで計算。
わからなければ、これも買った値段の2掛けくらいで算出しましょう。

時計や宝飾品のうち、いわゆる高級なものは、
オークションサイトで調べればわかるし、
それも面倒なら、買った値段の2掛けくらいで算出して下さい。
もちろん、大きな傷や故障があるものは、更にその半値。

洋服や靴など、流行りの時間軸が短く、耐用年数がある高級品は、
別の計算方法です。
このスーツは5年着るっていうことであれば、
5年後にはゼロ円まで減価する、という方法です。
例えば10万円のスーツで5年着るつもりなら、
1年目は8万円、2年目は6万円、5年目がゼロ円と換算します。

あまり高いものではない、あるいは1,2年で流行遅れとなってしまうもの。
これは、自分資産の中には含めないほうがいいでしょう。

友人がやっているベンチャー企業に投資した場合。
これは、個別論となります。
上場しそうなベンチャー企業なら、簡単に算出できるはず。
上場の見込みが難しいのなら、まあ保守的にゼロ円にしておくのが
いいでしょう。


▼自分資産の計算方法/見えない資産

先に解を申すと、これは金銭的に計算は出来ません。
しかし一方では、自分資産の中で占める割合は、
前述した流動資産、固定資産の比ではありません。

人それぞれだが、多分、自分資産の90%以上が、
この「見えない資産=無形資産」となることでしょう。

そして、見えない資産を含めた自分資産の計算方法は、
次週にお送りします。


▼自分の負債

自分負債のメインは、言うまでも無く銀行ローンなどの借金。
これも、厳密には難しい計算方法があるのですが、
ここでは借金の合計額でいいです。
自動車ローン。住宅ローンなども当然含めてください。


▼簡便法の自分価値

最も簡単な「自分価値」の算出方法は、
前述した流動資産+固定資産=自分資産の合計から、
自分負債の合計を差し引いた金額です。

しかし出来れば、次の述べる「将来の受け取る・支払う金額」も
算出して自分価値を出してみてください。


▼将来の受け取る金額

給料その他、将来受け取るだろう金額も計算し、
自分資産の中に含める。

例えば年収500万円の人。
後、20年間は働こうとしているなら、
単純に、500万円x20=1億円。

給料以外に受け取るだろうと思われる金額が
全てここに含まれます。

実際の計算は、厳密には「将来の価値を現在の価値に換算する」
という現在価値法があります。
http://cso.fc2web.com/melmaga/0312.html#vol.85

要は、10年後にもらう500万円という給料は、
現在の価値として、300万円程度だっていうことを計算すること。

但し、後述する「将来の負債」も同様に、
計算を簡便にしても結構です。
また、「給料は増加するだろう」っていうことも、
簡便法にした場合は、考慮しないで計算して下さい。


▼将来支払う金額

将来支払う金額。
これはどこまで細かく計算するか次第ですが、たくさんありますね。

不動産の固定資産税や住民税などの租税。
社会保障などの公的負担。
ガス電気水道代などの必要経費。

最低限の食費、交際費、衣服代。
家族がいるなら、教育費やその他費用。

但し実際には、大まかなものだけでいいでしょう。
また、これも将来受け取る金額と同様に、
簡便法で結構です。
つまり、単純に年間の金額x年数で。


▼金銭的自分価値

以上の計算により、金銭的自分価値が算出できましたか?
繰り返しですが、
自分価値=自分資産ー自分負債

自分資産には、出来れば将来受け取る金額も含め、
自分負債にも、将来の支払い額を含める。


▼結果からわかること。

結果はどうなったことでしょうか?
大半の人が、不動産や自動車などの資産よりも、
将来の給料の総額などの方が多額となったことでしょう。
負債も同様ではないでしょうか?

となると、金銭的に計れる自分価値に大きく影響するのは、
不動産でも自動車でもなく、
将来どれだけもらえるか、働いて報酬を得られるか、ってこと。

「そんなもん、言われなくても」って聞こえてきそうですね。
でも、結構、自己認識しているようでしていないのが現実。

見栄をはってマンションや自動車を買ったって、
流行に追われるがまま服を買ったって、
それは自分資産のごくごく一部。

もちろん、嬉しいとか、見栄えが良いとか、
金額で計れないメリットは多大ですが。
そしてそれらは、次週で述べる「見えない資産の計算方法」で
反映させるようにします。

繰り返しですが、金銭的に計った自分資産や自分価値。
これ自体は、次週の「見えない資産」と比べたら、
あまり重要ではありません。

金銭的自分資産・価値に意味があるとしたら、
将来、借金だらけで苦労しないようにするとか、
もし働けなくなったら、どらくらいの金額を手元に残せるかなど、
いわゆる「リスクの管理」ということです。

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▼▼上原貴志の「編集後記」

過去、月間の借金返済額が、
受け取る給料の半分以上を占めていたことがあります。
そりゃもう大変でした。

何に借金したかと言うと、
前回申し上げた、ゴルフ場の会員権を買うために。

いや、正確に言うと、会員権のためだけなら、
さほど苦労しなかったでしょう。
実は、それ以外にも、バブルに踊り、バンバン使っちゃったのですね。

要はその当時、自分資産、自分負債なんていうこと、
全く頭にありませんでした。

ゴルフ場会員権の相場が下がっても、借金は残ります。
だから、それだけ見れば、「自分価値」はマイナス金額。

にも関わらず、服、旅行、遊びにバブッていたってこと。
当然、自分価値のマイナス幅が広がる一方。

皆さんはこんなことないでしょうが、
くれぐれも、気をつけてください。
あくまで、資産の評価は、買った値段ではなく、
その時々の値段で計り、自分価値を計算しましょう。

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▼▼次週のテーマ▼▼ 

>>見えない資産の計算(自分価値/後編)

自分価値を出すのは、自分資産ー自分負債
だが、自分資産を金銭的に算出するのは難しい。
なぜなら、知識、人脈、経験、自分ブランドなどが、
見えない資産のことだから。

また、自分資産の90%以上は、見えない資産。
ならば、金銭的には無理にしても、
なんとか定量化したいもの。





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「リスクとリターン」  2004年2月10日 (第94号)



▼▼今週のテーマ▼▼  

>>投資のリスクとリターン

自分価値を高めるために、
時間やお金、情報や人脈などを投資していきます。

そして、株式への投資と同様、
自分価値を高めるための投資にも、リスクとリターンがある。
言うまでもありませんね。

時間という「投資の効率」を高める行動は、
かえって、リスクの割にはリターンが少ない。
時間を無駄にしたほうが、時間の投資効率がいい場合がある。

知識という資産を増やすための行動。
これだけでは、知識資産は増えても、自分価値は高まらない。
今号は、そんな話です。


▼投資のリターン

限られた自分の「資産」を何かに「投資」し、リターンを得る。
そのリターンが蓄積され、自分価値が高まる。
それが自分人生の経営。

自分の資産とはモノ、金、人、情報、時間、知見..
投資とは、リターンを得るために起こす行動。
リターンとは、モノ、金、人、情報、時間、知見などの資産が増えること。


▼見えないリターン/時間

例えば「時間」という資産を投資する。
これは単に、時間を使うということ。
では、時間という資産が増えるとはどういう事でしょうか?
時間を浪費せず、効率的に仕事などをこなすことが、その1つですね。

「効率的な時間の使い方」については他誌に譲るとして、
ここでは、逆説的なお話をします。
つまり、「時間の効率化」は、かえって「自分時間という資産を減らす」
場合が多いってこと。

なんでもかんでも時間の効率化を図る。
カネで解決型をやってしまう。
そんな反面教師君が多いです。
デジタル化、コンビニ化の世の中、時間の効率化は、
やろうと思えばドンドン出来ますので。

「時間節約」のために、
定食屋に行くのではなく、サプリメントや栄養剤を「食べる」。
歩ける距離なのに、直ぐにTaxi。
会議短縮のために、事前に電子ファイルをE-mailし、意見調整をする。
10分/1000円の床屋で髪切りを済ます。

これら1つ1つは、効率的だし、デキるビジネス・パーソンには必要な
場合が多い。でも、いっつもいっつもっていう人、いますね。

サプリや栄養剤だけでは、そのうち「温室のモヤシ」になり、
病院通いが増え、「時間という資産を増やすどころか、減らす」ことになる。

いつも議論をE-mailでやる人は、人間味が薄れ、結果的に意見調整が
難しくなる。
また、会話だと5分のところを、E-mailだと1時間もかかるケースがある。

10分間で髪を切れるのは時間短縮だが、
どうしても「オシャレ」というのを置き去りにしがちになる。

いずれも、時間を買っているようで、
時間という資産を減らしている場合があるってことです。
世に氾濫している「時間管理術」などを読んで実践してみると、
かえって時間の浪費となってしまうことも、よく聞く話ですね。


▼ボーっとする、呆ける(ほうける)

一方、ボーとしていたり、呆けたりすることのみを指して、
「時間の浪費」とは言いません。
逆に「時間を買う、自分時間という資産を増やす」ということにも
なり得ます。

いい発想、いいアイデアは、ボーとしている時間に浮かぶことが多い。
呆けることは、それだけココロに余裕が出来てくるもの。
余裕が無いとエンジンは燃え尽きてしまうか、エンストを起こします。

達人たちが、茶室にこもる。
多忙な人には、釣が好きな人が多い。
セレブたちは、一人ボケーっと酒を飲むし、
のんびり電車で一人旅なんて、大人のオトコって感じですね。

但し、念のため申しますが、ここで勘違いしないように。
反面教師君。
「暇だー、何かやることないかなー。」
「パチンコでもして時間をつぶすか。」

「電車の中って、やることないよなー。」
「だからいつも、携帯のゲームか、眠っちゃうかだな。」

これは単なる「時間の浪費」。
もちろんパチンコや携帯ゲームを批判するわけでもないし、
電車でうたた寝もいい。
ただ、「やることないから」とか、「暇で仕方ないから」。
これでは、単なる時間の浪費になっちゃいますね。

以上、時間を買う=時間の効率化ばかりを追い求めるのは反面教師君。
やることないから時間を浪費するのも同じ。

効率化と呆ける。
どちらも重要。
ただしいずれも、「何かの目的を持って、時間を使っているか否か。」
これだけです、時間という資産を増やすかどうかは。


▼見えないリターン/知見

知見は、知識と経験と知恵と、それらが複合したもの。
そしてこの資産をたくさん持っている人ほど、
自分経営が上手くいっている、自立成長型の人。

知見を増やす要素のひとつである知識。これは当然重要です。
知識も無く「あーだこーだ」って言う人って、
単なる能ガキ、犬の遠吠えに聞こえてしまいます。

やっぱ、いろんなことを「知っている」人って、
発想も幅広く奥深いもの。
知らない人には、発想が貧弱なケースが多いですね。


▼しょせん知識

ただし勘違いしないで下さい。
知識なんて、しょせん知識。
それだけでは価値が無いどころか、かえって価値向上の邪魔をするもの。

優秀な大学を出ても、仕事が出来ない人。
心理学者なのに、対人関係が下手。
ゴルフ理論完璧なのに、いっつもOBばかり。
知識がかえって邪魔をするっていう場合もよくあります。

そこで、知識という「貴重な資産」を価値あるものにするには、
あるいは価値を高めるには、何が必要なのか?
それは「経験」であり「実践」であります。
皆様なら「とーぜん!」って思われることでしょう。

持っている知識を使いまくり、経験すること、実践すること。
そこで初めて、知識が知恵や知見に昇華します。


▼では、どうするのか

では、知識を知見や知恵に昇華させるためには、
どのような経験、実践をすればいいのか?

その解はシンプル。
「成長過程という軸の中に入っている行動(経験)か否か」だけ。

軸に入っている行動は、一見非効率のようでも、
知見を増やすための時間やお金の投資となります。

成長過程の軸に入っているか否かは、
http://cso.fc2web.com/melmaga/0306.html#vol.61
で記載した「目標を定める」ことを行うこと。
後は必然的に、成長過程の軸が定まってくるものです。


▼投資のリスク

以上、見えない資産の代表例である「時間」と「知恵」。
その投資及びリターンについて述べてみました。

次に、株式投資同様、これら投資にもつきもののリスクについて、
お話します。
そもそもリスクとは何のことか?
簡単に申すと、得ようとしていたリターンが、得られなくなる、
その不確実性のこと。

そして「高いリターンに対しては、高いリスクがつきもの」、
という原則があります。


▼リスクとリターン

反面教師君的投資は、リターンにつきもののリスクを忘れていることです。

よく、「絶対儲かる投資商品、年利10%」なんていうパンフレットを見ます。
そこには、年利10%という高利の裏に、必ず同量のリスクがあると
思って下さい。
リスクとは、繰り返しですが、不確実性。
つまり、10%利益を生むか、10%損をするかっていう不確実性。

「このビジネスは、労力少なく高収入が得られます。」
ってのも同じ。
また、金銭的投資のみではなく、時間的投資、知識的投資も同様です。

「この資格を取得すれば、転職に有利」、
ということで、時間とお金をかけて資格のお勉強。
その場合、「どの職」に転職するかによって、リスクは異なります。

例えばIT情報系企業。
求められるスキルは流行り廃りが激しいので、
それだけ「資格取得後に転職に有利か否か」の不確実性が高い。

例えば金融工学を駆使する外資投資銀行。
同じく、日々、技術は加速度的に進歩しているので、
資格取得後には、全く不必要な専門性となっている可能性が高い。

逆に、大工さんとかコックさん。
もちろん、作り方とか工法にも流行り廃りはありますが、
少なくとも不確実性は、情報系や金融工学系よりも低いですね。

このように、時間もお金も知識も、
リターンだけではなく、不確実性、つまりリスクを勘案して、
「自分資産を投資」することが、自分人生経営には求められます。

「そんなこと、当り前でしょ!」って言われそうですが、
当り前だからこそ、意識から外れちゃいがちなのも事実。

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▼▼上原貴志の「編集後記」▼▼

時間短縮、時間の効率化。

どうしても、連続ドラマを観る時間が取れない。
でも、流行りまくっているドラマは観てみたいし、
第一、周りとの話についていけない。

というわけで、私はよく連ドラをVideoで借りて、
半年分を一気に、一晩で観たりしていました。

毎週木曜日は早く帰らなくては、なんて心配する必要は無いし、
次週はどうなるのだろうか、なんてヤキモキすることも無いし、
それに、CMもカット、つまらない場面は飛ばすってことで、
1時間ものを、40分程度で観ることが出来るのが、効率的だね。

でも、でも..。

なんか味気ない。なんかつまらない。
私が「時間効率化」としてやったことの中で、
最も「結局は非効率、無駄」で終わった経験になってしまいました。


▼▼次週のテーマ▼▼ >>自分の資産価値

時間、カネ、人、モノ、情報、知識などの自分資産を投資し、
各々の自分価値を高めていくこと。

では、自分価値、自分資産の価値って何?
それをどうやって計るの?

マンションなどの見える資産の価値計算は?
ヒトや情報、知識など、見えない資産の価値計算は?

非常に難しいのですが、
その辺の考え方や方法を押さえていないと、
良い投資は出来ませんね。

次週2月18日、お楽しみに。



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