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RIE MIYATA

ニットに込める想いを聞く 「VENERTA knitwear(ヴェネルタ ニットウェア)」インタビュー

こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。

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今度の秋冬はニットが主役になりそうな気配が濃くなっています。スウェットやカーディガンなどで身近な存在のニットですが、実はとても奥の深い素材です。秋に向けて「ガリャルダガランテ」では様々なニット新作が打ち出されますが、そのトップバッターとしてご紹介したいのがニットウエアブランドの「VENERTA knitwear(ヴェネルタ ニットウェア)」です。

「VENERTA」という聞き慣れない言葉の由来は「VENERE(金星、ヴィーナスを指すイタリア語)」と「VENERATE(尊敬するという意味の英語)」にあります。

ニットウェアの新しい価値観と美しいライフスタイルを誕生させるというコンセプトでスタートしたニットウエアブランドです。

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クリエイティブデザインユニットのJOSEPH D/Cと、「NEIL BARRETT(ニール バレット)」でスタッフの経験を持つRIHO ICHINOSE氏が手掛けています。

JOSEPH D/Cは様々なブランドのクリエイティブワーク、デザイン、グラフィックデザインに参加した後、2013年から「VENERTA knitwear」ホリデーラインの企画、グラフィックを監修しています。

クリエイティブディレクターを務めるICHINOSE氏は2000年にイタリア・ミラノ市にある、ヨーロッパ屈指のデザインスクール「Domus Academy(ドムスアカデミー)」で、修士号に当たるマスターを取得しています。

イタリア初のデザイン大学院として1983年に創立されたドムスは、世界的なデザイナーを大勢輩出していて、デザイン界では世界的に高い評価を受けています。VOGUE JAPAN ファッション・ディレクター・アット・ラージのAnna Dello Russo(アンナ・デッロ・ルッソ)氏も卒業生です。

2001年からイタリアの「NEIL BARRETT」(white S.R.L)でアシスタント、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を担当。14年から「VENERTA knitwear」のスタイリング、コレクションラインの企画を監修しています。

パリでも指折りの高感度セレクトショップである「MERCI(メルシー)」でも取り扱いがあるほど、「VENERTA knitwear」は高い評価を受けています。「MERCI」はここで受け入れられたブランドは必ず世界的にヒットするという伝説的な目利きで知られるだけに、「VENERTA knitwear」も今のうちから手に入れておきたい存在となっています。

ニットウエアは似通った見栄えの品が珍しくありませんが、「VENERTA knitwear」は違います。インパクトたっぷりの柄が目を惹くのに加え、袖のリブ使いといったディテールにもこだわりが感じられます。

では、どうして「VENERTA knitwear」はこんなに特別なニットウエアであるのか。ブランド側に質問を投げかけたところ、丁寧にご回答していただけたので、以下にそのやりとりをご紹介しましょう。

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Q ニットウェアの新しい価値観と美しいライフスタイルというコンセプトをもう少しかみ砕いて説明していただいてもよろしいでしょうか?

A 現状のニットウェアはシンプルなアイテムまたはテクニックを全面に見せた凝ったアイテムがほとんどで、扱い方も繊細でデリケートな印象を持つ方が多いと感じます。本来ニットは縫製がないためストレスを感じさせず、”ライフスタイル”になじみやすいアイテムです。気を使いすぎず、もう少し気軽にニットに触れ、着る人の気分を少しだけ楽しくさせるモノでありたいと考えます。

Q シーズンごとに新しい柄・モチーフが登場してきますが、柄のインスピレーションソースはなんでしょうか?

A 主に古い飲料のパッケージ、工業製品、広告デザインなどからインスピレーションを受けています。それらは年代によってその時代の空気を反映したデザインとなりますが、それを感じて新たに現代の空気感をプラスして変化させることを意識しています。

Q スウェットの質感が大変、興味深い表情を生んでいます。この素材にこだわる理由は何でしょうか?

A 別注リクエストを頂いたスウェットにグラフィックをのせても、ヴィンテージ感が出過ぎないこの素材を選びました。

Q 袖のリブ使いがシグネチャー的なディテールとなっています。このリブ使いはどういった効果を狙っているのでしょうか?

A 長めのシングルリブをそのまま着ると華奢な袖の印象で女性らしく、半分に折りかえして着るとスウェットのようなデイリーな表情を出せる作りになっています。

Q ヴィンテージのスウェット風のデザインはどうやって着想したのですか? 何かきっかけがあったのでしょうか?

A 普段からヴィンテージショップやインテリアショップが好きで世界中をフラフラしています。そんな中、見つけたヴィンテージのスウェットは雰囲気があって魅力的なのですが、当時の空気で生み出されたものは袖や形が独特で私達の”ライフスタイル”ではかなり着こなしにくいアイテムでした。そこで、ニットで表現することでもう少しニュートラルなイメージで、現代の”ライフスタイル”になじみ、より気軽に楽しめるアイテムになると思ったからです。

Q 柄にアメリカンな雰囲気や大学生っぽいムードが感じられます。どういう意識でモチーフを選んでいるのでしょうか?

A その年代の空気感を感じつつもヴィンテージ感が強過ぎないバランス感のある柄を意識して作っています。今後はヴィンテージシリーズに加え、メッセージ性のあるグラフィックやアートモチーフのグラフィックも展開予定です。

Q 複数の色を使って模様を編み出す、「インターシア」という高度な製法を用いています。この製法を選んだ理由は何でしょうか?

A 繊細な柄を表現するにはジャガードが適していますが、軽さや鮮明過ぎないノスタルジックな表情を出すにはインターシアが適しているからです。技術的にはもっと複雑な柄を表現することができるのですが、あえて色数を制約しノスタルジックな印象やプリントとは違うニットらしさを残すバランス感を大事にしています。

Q 繊細な糸の肌触りが感じられます。素材選びにはどんなポリシーで臨んでいるのでしょうか?

A 今回の秋冬では滑らかな毛足の長いカシミアタッチの糸、春夏は軽やかで着る人が扱いやすい糸を中心に使用しています。

Q RIHO ICHINOSEさんとJOSEPH D/Cの役割分担はどうなっているのでしょうか?

A RIHO ICHINOSEはヴィジュアルのイメージディレクションをJOSEPH D/Cはグラフィックディレクションを担当しています。

Q ほかのニットウェアと「ここが違う」という特徴を教えていただけませんか?

A マテリアル、テクニックだけを頼りにデザインするのではなく、時代の空気感や着る人を想像して快適であるか、楽しい気分になるかを考え、”ライフスタイル”をデザインする姿勢でモノ作りをしているところです。

誠実な人柄とまじめなものづくり姿勢が伝わってくるお答えでした。ニットという表現の深みも感じることができます。今回の企画では「ガリャルダガランテ」だけのオリジナルアイテムも登場するので、ぜひショップでオンリーワンのニットを探し当ててみてください。

GALLARDAGALANTE
VENERTA KNIT WEAR
2014 Autumn&Winter Exclusive Collection開催中

『VENERTA NKIT WEAR』おすすめスタイリングページはこちら
http://www.gallardagalante.com/pr/1408venerta/

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