さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

善し悪しの年末/ホントに来日/世界への道筋/その相手/伝説に挑む

2014-12-04 20:17:10 | 話題あれこれ



年末はとうとう、30日、31日の二日間で8つの世界タイトルマッチが
虚構やなくて挙行されることになりました。

少し前に想像したり、小耳に挟んだりした話以上の、大変な事態です。
しかも井岡一翔、宮崎亮の世界戦が成立していないにも関わらず、こんなことになろうとは。

年末年始のTV局の編成は、紅白があり「ガキの使い」があり、という状況の中で、
それ以外の局が格闘技イベントを大々的に中継していたものですが、
それが色々あって(ホントに色々あったらしいですね)、その枠をボクシングで埋めよう、
という流れになって数年経ちます。

どういう形であれ、ボクシングが少しでも、従来より広範な世の注目を集めるのであれば、
それは悪くない話だ、と思って、以前そう書いたような記憶もありますが、
ここまで来るとさすがに飽和状態というか、その先が心配になりますね。

以前、年末では無くて正月三が日の日程を埋めるために、無理矢理な世界戦が組まれ、
結果が完敗に終わったことが批判的に語られ、ボクシングへの世評が悪くなった時代がありましたが、
今回の事態にも、それと似た危惧を持ちます。


世界王座、と一般に称されるものが、昔日のそれと同じものを指してはいない現実は、
ボクシングファンであるならば誰もが残念に思いつつも理解していることですが、
だからといって年末に与えられたTVの放送枠を、こういう形で慌てふためいて?
いかにも雑に埋めていく、という印象が拭えないボクシング「業界」のありようには、
やはりため息が出ます。

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そのありようが端的に表れているのが、ギジェルモ・リゴンドーの来日です。

TV局からの後援を見込んで?このような世界的強豪を招くのならば、
業界全体でその階級最強の日本人挑戦者を一年がかりで選出するマッチメイクを実現し、
「満を持した」形での挑戦試合を実現しよう、という程度の構想くらいはあってほしい、と思います。
しかし現実はというと...語るのも空しいですね、こういうのは。

天笠尚の健闘を切に願いはしますが、その内容と結果次第では、TV局及び視聴者の間における
ボクシングそのものに対する厳しい評価...というか、失望を招きかねない、という不安もあります。
単に天笠個人の技量力量に対してではなく、この試合の背景にあることども全てに対する不信、というか。
そういうものが長い目で見て、ボクシングそのものに対する評、信用を傷つけはしないだろうか、と。

もっとも、一部マスコミは、もっと具体的?なところにも不信の目を向けているんでしょうかね。
こういう記事もあります。笑い話半分、と読むべき記事なのかもですが。

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岩佐亮佑には、IBFのエリミネーションバウトの話が出ていますね。
来年2月という話ですから、山中慎介に敗れてほぼ4年後です。
あの名勝負以降、試合によって抜群だったかと思えば不調だったり、なかなか難しいところですが
この試合こそ大勝負、正念場となるでしょうね。

IBFはこの手の試合の勝者との対戦を、王者に対し厳しく義務づけるようですし、
ランディ・カバジェロへの、はたまた山中vsカバジェロ戦(が実現すれば)の勝者への、
いずれにしても大いなる挑戦が待っています。

不安なのは結局バンタム級にとどまるという選択ですね。
情勢がそうだから、ということなのかも知れませんが、けっこうはっきりと減量への不安や
それ故の不調を語り、また語られてもいたので...その辺を克服出来るかが鍵になりそうです。

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で、その相手、セルヒオ・ペラレスとはいったい、どないなお方なのか、と思って、検索してみました。

最初はWBCが企画した「未来のチャンピオン」?大会、5回戦での敗戦。
ラウンドが短いので、最初からビジーファイトになった感じ。
相手はウルグアイのカリル・エレーラという強打者。サウスポー対決。
WBC主催の大会なのでトランクスがお揃いです。白グローブの方がペラレス。




次は昨年5月、英国ヨークシャー、ドンカスター・ローバーズのホームスタジアム、
キープモート・スタジアムでの一戦。ジェームス・マクドネルvsフリオ・セハの前座で
スチュアート・ホールと対戦。ホールの体格に圧された感じですね。




最後がラウル・マルチネスとの一戦。ノニト・ドネアに完敗を喫するまで24連勝でしたが
その後は負けも増えてやや不調気味の、元ホープと激しい打ち合いの末、KO。
ハイライトですので、終盤、疲弊したあとの姿が中心。ほどけてくるとこういう感じか、と思う反面、
激しい試合に打ち勝つ勝負強さがある、とも見えます。




やや小柄?なサウスポーで、パンチ力は平均以上か。スピードはある方でしょう。
岩佐が厳しく突き放せば、充分勝機ありと言えますが、安易に手を出させてしまうと、
テンポ良く打ってくる怖さも感じます。
岩佐の調子次第でしょうが、ちょっと構えの甘さも見えますので、長いパンチで打ち崩してほしいですね。

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8つの世界戦のうち、最大の一番といえばやはりこれでしょう。
前田衷氏の手による「Number」誌のコラムです。

ボクシング・ビート誌の飯田覚士氏との対談でもそうでしたが、ローマン・ゴンサレスは
井上尚弥に対して、やや厳しめの評を下しているようです。
もっとも、115ポンドの井上尚弥が誰にとっても未知数の存在であることも承知しているようですが。

しかし、この記事の前田氏の評もそうですし、普段練習を間近に見ている報道陣、
そしてナルバエス挑戦を決断した大橋ジム陣営は、少なくとも今回の試合を「無謀」とは見ていないようです。

我々ファンからすれば、このキャリアでこの相手に、とまず第一に思ってしまうところですが、
井上尚弥の練習する姿に近い人ほど、そういう風には見ていない、のだとしたら、
その目を信じて、やはり普通の予想では収まらない何かを期待していい、のでしょうか...。


あれこれ考えると、今から気持ちが落ち着きません。
30日、我々はこの史上希なる逸材の闘いの末に、どのような光景を見ることになるのでしょう。


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5 コメント

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Unknown (ててて)
2014-12-04 23:18:13
リゴンドー対天笠は、リゴンドーが日本で観れる、というだけの試合ですね。個人的には
ボクサーがリゴと闘えるチャンスに食いつくのはそりゃそうですが、試合組む方はそれでいいのかな、と。

あと、さうぽんさんの井上尚弥記事を観直して、本当にこの人はこっちの期待を突きぬけて行ってるよなぁって思いました笑。
次の相手はナルバエス。勝って欲しいけどなぁ。遠征して観に行くんです僕。負けるイメージしていた方が当日楽しめるかと想像したら予想以上に憂鬱になりました。辛い……笑
Unknown (R35ファン)
2014-12-05 00:23:36
今晩は。安い世界戦多いですね。面白いのは井上君の試合ぐらいでしょう。高山さんの様な方があんな決定戦だと悲しいですし、八重樫さんやリナレス君も相手はまあまあですが決定戦。やれやれです。
リゴンドーが本当にくるとは驚きですがこの方、ボクシングファン以外の知名度は微妙ですし、お茶の間に伝わる面白さというと・・天笠君一発あるので、塩試合なりそうな気がします。
岩佐君は楽しみです。減量はきついでしょうがそれ以上に、彼のモチベーションが彼のセンスを再び呼び覚まし、発揮されると期待します。
和氣君はリゴンドーのオファーも断ったそうですね。先日さうぽんさんがおっしゃった後援者が一枚噛んでるのかもしれませんが、世界戦二回も断って、自分たちで世界戦ホームで開催出来る勝算でもあるんでしょうか。今のスーパーバンタムの王者はそう簡単に呼べない気もしますが。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2014-12-05 19:11:14
>てててさん

仰るとおり「試合組む方」の動きに不信感があります。まぁ何を今更、と言われれば返す言葉もないですが...。
井上尚弥には毎度毎度、度肝を抜かれてばかりで、その都度思ったことをだらだら書いたに過ぎないわけですが、当初思っていた以上の「トンデモ」さんでしたね。怪物怪物と言いますが、見た目はそういう禍々しい感じではなく、どっちかというとボクシング界のピカチュウ、という感じですが。詳しくは知らないですけど。
30日は私も安い席ですが参戦します。翌日の府立は、当日の都合がつけば、後は体調次第気分次第、という、いかにもスチャラカな構えです(笑)。


>R35ファンさん

単に「カード」として見れば悪くない試合でも、こう何から何まで世界世界とやられると、という感じですね。4団体認可の悪しき面がモロに出てます。これやからなー...と、私の「認可賛成」に真っ向から反論した知人の声が思い出されます。嗚呼。
リゴンドー来阪についてはあれこれ書いたとおり、周辺の状況が全く整っていないことを危惧します。和氣の今後については不明ですが、彼の周辺にて起こった綱引き?のような出来事の結果がこうだった、ということなんでしょう。王者の招聘については、現状の中から選ぶこともあれば、結果として情勢が変わるのを待つことになるのかも知れません。いずれにせよ、彼とは全く違う状況にいたと思われる大竹秀典のような形での世界挑戦は、現状では考えにくいでしょうね。

Unknown (NB)
2014-12-29 23:07:04
すみません、一言!井上が圧倒する事を期待します。新世代をアピールするには格好の相手でしょう、もぅワクワクですね、楽しんで来て下さい!
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2014-12-30 05:58:43
>NBさん

私もそう期待します。もしそんなことになったら、井上は本当の怪物ですね。ジムのスパーでは試合の倍強いだとか、スーパーフライがベストだとかいう伝聞が、どこまで本当なのか、ほぼ証明されるでしょう。
ただ、それにしても相手が悪すぎへんかなぁ、と心配ですが...。

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