シリア内戦視察 第5話 (トルコ戻りと最前線) | ♪ HARUNAのブログ ♪

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男装の麗人川島芳子とHARUNA(遥菜)のブログ

前世で行った場所を初め、色々な場所に訪問した時の
紹介ができたら良いと思ってます♪


第5話 (ミッション失敗の危機と最前線)

結構省略して書いているが、この段階で第五話と言うと
第15話ぐらいになってしまいそうだ。前回の続きに戻る。


翌日2日目の夕方、後藤健二さんと初対面♪僕は握手を
交わした。そこには見た事がない司令部幹部が5、6人
来ていた。そこでまたシリアに来た理由や経緯を聞かれ
後藤さんが通訳を始めた。会話をしてから30分ぐらい経過。
その後・・・。ショック。


後藤さんを通して聞かされたのが、『今夜国境まで送るので、
そこで宿泊して翌朝トルコへ帰れと』自由シリア軍幹部の
連中から聞かされたと告げられた。夜は税関が閉まっている
ので朝まで国境で待て。だって。その事よりも目的が達成
出来なくなった事が、挫折感を感じた。僕は戻るぐらいなら
銃殺してほしいと思った。


苦労して来たのに納得が行かない!ホントは後藤健二さんと
写真を撮ろうと思っていたが、挫折感ですっかり忘れて
しまった。ホントに後藤さんは上手く伝えてくれたのか、
疑いさえ思えた。後藤さんはそれを告げた後、『僕に残りの
時間をエンジョイしてください』と手を振って戻って行った。


(※ここで少し説明をして置く)
『自由シリア軍の幹部達の懸念は簡単に説明すると、前年に
ISISと言う同じイスラム教の人達を迎え入れ戦う。ISISは
イスラム教でも思想が異なるのだが、同じアサド政権と戦う
との事で歓迎をする。しかし自由シリア軍や市民から金品を
強奪し味方では無いと自由シリア軍は気付く。


結果裏切られた感じである。自由シリア軍はアサド政権と
ISISアルカイダと2つの勢力と戦わなくてはいけなかった。
そして昨年末ISISの駆除に成功した。


ISISらの考えはアサド政権を倒し、ISISが掲げる理想国家
シリアで作ろうとしていた。詳しく語ると長くなるので
かなり簡単に説明。ISISはイラク戦争の後から出来た過激派。


そして今回僕はISISの件が前年に遭ったので、司令部幹部は
外国人の僕を疑っていたと言う訳だ。』


全くこの状況でエンジョイなど出来る訳が無い!兵士達とは
かなり人間関係が出来ているのに、幹部は違った意見だった
のだ。僕はかなりがっかり。死んでも最前線に行きたかった。
今までに感じた事が無い挫折感だ!ホント自決したい気分!


やっぱりこの仕事柄、失敗は許されないからね!これから人の
命を救うのに初任務から躓いた思いだ!しかしどうし様もない!
ここまで来ると、目的達成の事しか考えられないので、帰国
なんてもっての他。


直ぐ夜になりショックで夜は食事もしなかった。一応、荷物の
整理もする。しかし何時になっても僕を国境まで送る気配が
無い!明日に変更かな?結局、同じ拘束場所の司令部に宿泊。
そして翌朝を迎える。翌朝の目覚めは悪い!


午前中が過ぎなんだかんだ午後になっても動きが無い。
夕方ようやく幹部が来て司令部の敷地のプールサイドに兵士
全員集まる号令がかかる。作戦会議の様子で司令部の周りには
歩哨が立ち始めた。僕は行ってはいけない雰囲気だったので
行かなかったが、僕も来いとの合図。


この瞬間!雰囲気と直感でこれは最前線に行けると思った!
マジ超嬉しい!しかしまだ何も言われていないので分からない。


会議の様子は翌日の前線に送るメンバーの告知やら攻める
場所など話している様子。僕は聞いてはいけないと思い、
聞かない振りをしていた。30分ぐらいだろうか?解散の
号令かな?皆散らばりだした。


パクさんは司令官に呼び止められ、その瞬間僕はもしや良い
兆候?♪そして司令官と話しているパクさんの顔色が真剣になる。
この瞬間僕は読みは当たったと感じた瞬間だった!
パクさんが僕に近づいてくると彼はこう言う。


『明日、最前線の都市アレッポに連れて行く。アラーの神に
感謝しなさい。』だってさっ♪僕は人間関係の戦いに勝利したと
、言葉に言えない喜びだった。普通なら最前線の戦闘をしている
所に行くのに喜ばないと思うが、僕は真逆だ。ミッション成功
こそが最大の目的。成功こそが幸せ、自分が成長する達成感だ!


次にパクさんは『僕をイスラム教に歓迎する。これからは毎日
、1日に2回お祈りをしなさい。司令官がイスラムの名前を
くれた。今からあなたはアブ・ムジャヘッドだ』(信頼なる子供)
みたいな意味らしい。ニックネームみたいな感じかな。
イスラム教の仲間に迎えられ、イスラムになりたてだから、
その様なニックネームを付けたと言う。とても良い名前だと
彼らは言う。


それから直ぐに手や顔、足を洗ってお祈りが始まる。嬉しさ
のあまり僕は何でも祈るよ!と思った。しかしこれが面倒で
直ぐ嫌になる。基本祈るなど普段しないからね。トイレも
ルールがある。左手で右手は使用してはいけない。食事は右手
など。ホントにイスラムの人々はこんな事信じているのかねぇ?


その晩は仕事が続けられる事で、嬉しくて眠れなかった。
パクさんと話が弾む。するとパクさんがアヘンの様な大きな
パイプを持ってきた。パクさんは『これを吸うと気分が良くなる
から吸ってみなさい』と言う。僕は『麻薬はやらない』と
答えるが、パクさんは麻薬ではないと言う。僕は怪しいと
思ったが吸ってみる事にした。吸うと焦げたアップルの香り。
アヘンではなかったが、全然良いと思わない。直ぐにやめた。
パクさんは癖になっている様でずっと吸いながら会話する。


そして待ちに待った翌日が来た。午前中、昨日の会議で戦闘に
行くメンバーに選ばれた兵士達が、車に乗り最前線へ戦闘へ
行く。僕は兵士達を見送る。彼らと一緒に行くのではなかった。
何度も僕に手を振る。兵士らは緊張した雰囲気で目的地へ
向かった。


そして午後、初めて見る幹部らしき人達が訪れ、早目の豪華な
夕食会に僕も参加。国境の司令部とは違う前線の司令部から
来た幹部だった。その彼らにバトンの僕を渡す形になる。


食事が済みしばらくして車が迎えに来る。今度は仲良くなった
兵士達が僕との別れを惜しんでいる。最後はイスラム独特の
信頼なる挨拶、抱き合う感じで別れを告げた。
嬉しい!ホント嬉しいよッ!苦労して来て良かった!
いよいよ最前線だ!


結局今回、シリア入国後、拘束された期間は合計3日間。
これが、とてもとても長く感じた!気が付くとここでの
ストレスは結構有った様で、抜け出す事が出来て初めて
気が付いた。


国境付近は麻薬の売人やマフィア、ギャング、アルカイダ
等多く居るのを後で知る。空爆が無く安全地帯のはずだが、
陸上にはその様な別の危険がある。


※シリア内戦視察 第6話 (最前線での誕生日)に続く


はるな