慰安婦問題や東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長の調書などの大誤報で信頼ガタ落ちの朝日新聞。来春から集英社とともに発行するフリーマガジンについても各方面から疑問の声が相次いでいる。都内の港区青山、麻布などに住む富裕層や開業医らに配布先が限られているため、購読者のなかから「不公平だ」と不満の声がわき起こり、朝日OBも「このやり方は『選民』ではないか」と批判を浴びせているのだ。
議論の的となっているのは、朝日新聞社と集英社が来年3月に発行予定のフリーマガジン「T JAPAN(The New York Times Style Magazine)」。
朝日の提携先である米紙ニューヨーク・タイムズが、年12回無料で配布する雑誌の日本版で、ファッションやカルチャー情報などを扱う。
朝日などによると、初代編集長には、集英社の女性向けファッション誌「SPUR」の前編集長である内田秀美氏が就任する。
春秋2回ずつの年4回、20万部以上を発行する予定で、うち16万部を東京の青山、麻布、白金、成城など富裕層が集中する地域の朝日読者に配布。残り4万部を朝日新聞社が発行する医療従事者向け季刊誌を購読する開業医や、集英社のファッション通販サイトの最優良顧客に届けるとしている。
お金持ちばかりに集中的に配ることになるが、この対応に配布対象になっていない読者から地域差別的ではないか、という声が漏れている。
朝日新聞を50年以上、購読する都内の60代男性は「朝日は、富裕層とそうでない層を含め広く読者を抱えていると思うが、そのそうでない層から『いつ富裕層の味方になったんだ』『(われわれを)裏切るのか』といった不満は出るだろう。新聞社も会社なので収益を考えてのことなのかもしれないが、経営判断としてどうかと思う」と疑問を投げかける。